7. 胸膜中皮腫・腹膜中皮腫等の検査と腫瘍マーカー

What is Mesothelioma?

(1)胸膜中皮腫の検査

 胸膜中皮腫の診断や広がりを調べるために、胸腔内および腹腔内を詳しく調べる検査をします。肺がんの胸膜播種(はしゅ)との区別が難しい場合があります。

問診・触診:全身を丁寧に診察し胸部・腹部のしこりを調べ、職業歴や住居環境などアスベスト曝露(ばくろ)の可能性についてお聞きします。

胸部X線検査:X線で胸水や胸膜にがんを示す影がないか調べます。

腫瘍マーカー:中皮腫の腫瘍マーカーはまだ研究段階です。肺がんで異常値を示すことの多いCEAは中皮腫で上昇せず、Cyfra 21-1(シフラ)は肺がんでも中皮腫でも上昇することが知られています。胸水中では、ヒアルロン酸を調べ診断の参考にします。

画像検査:(CT検査等)胸膜外や腹膜のがんの広がりを調べるため、超音波(エコー)、胸部や腹部のCTなどを行います。造影剤の使用でアレルギーがあるので、医師に申し出てください。

細胞診:針を使用し胸水や腹水を採取、細胞を顕微鏡で観察、がん細胞の有無を調べます。

生検:胸膜や腹膜から組織を採取し、顕微鏡で見てがん細胞の有無を調べます。胸腔鏡(きょうくうきょう)検査は、全身麻酔化で肋骨間を小さく切開し、特殊な内視鏡である胸腔鏡を用いて胸腔内を観察し、胸膜から組織を採取します。

胸腔鏡検査

(2)心膜中皮腫の検査

 上記の胸膜中皮腫で述べたような検査や、心臓の超音波(エコー)検査、心膜液(心のう液)の細胞診などを行います。

(3)腹膜中皮腫の検査

 胃・腸や卵巣など他の原因のがんによる腹水が多くあるため、腹水を採り細胞を調べ、腹部臓器にがんがないか調べます。腹水中の細胞検査で診断が難しい場合もあり、腹腔鏡を用いて組織を採取することがあります。

(本項目の文章は2018年8月段階の内容です。2018年9月以降の変化は反映していない場合がある点ご了承ください。)