2.中皮とは

What is Mesothelioma?

 肺、心臓、胃腸・肝臓などの腹部の臓器、精巣、の4部位は、胸膜、心膜、腹膜、精巣漿膜と呼ばれる「サランラップ」のような薄い膜に包まれて、これらの膜でおおわれています。動物の細胞が分化して組織が発生していく過程では、上皮、中皮、内皮という細胞にわかれることがありますが、中皮細胞という名称の由来は、この時期に臓器をおおう細胞から来ています。薄い膜には、「中皮(ちゅうひ)細胞」が並んでいます。上皮は更に分化して皮膚や消化管や呼吸器系となり、内皮は血管や血液や筋肉や脂肪組織となります。中皮は、胸膜や腹膜や心膜等を覆う薄い膜となります。 一般に上皮からできた悪性疾患を、「がん」といいます。皮膚癌、胃がん、大腸がん、肺癌というわけです。内皮にできた悪性疾患を、筋肉腫や脂肪肉腫や悪性リンパ腫や白血病と言います。中皮にできた悪性疾患を、悪性中皮腫と言うわけです。「がん」の一種と考えて良いわけです。

図1 中皮、上皮、内皮の概念図

中皮、上皮、内皮の概念図

腫瘍の種類

良性腫瘍・悪性腫瘍(悪性新生物)

上皮性悪性腫瘍=がん、上皮は,皮膚,粘膜,臓器の内面を覆う細胞層など,広い意味で体の表面を覆うものです.例:肺がん,胃がん,肝臓がん,乳がんなど,がんと呼ばれるもの

非上皮性悪性腫瘍=肉腫、中皮腫

非上皮には中皮と内皮が含まれますが,中皮は胸膜,腹膜,心外膜,など,内皮は心臓,血管,リンパ管の内面を覆う単層扁平上皮です

例:中皮腫,白血病,肝臓血管肉腫,など

(本項目の文章は2018年8月段階の内容です。2018年9月以降の変化は反映していない場合がある点ご了承ください。)