第31回 東京弁護士会 人権賞受賞

Human Rights Award

第31回 東京弁護士会 人権賞受賞

所長 名取雄司

 2016年12月12日、中皮腫・じん肺・アスベストセンターは、外国人医療相談に取り組む特定非営利活動法人北関東医療相談会、東京大空襲の戦災を伝え続ける故林家三平氏のお連れあいの海老名香葉子氏と共に、東京弁護士会から第31回東京弁護士会人権賞 の受賞者として決定され、記者会見に出席した。東京弁護士会人権賞は1986年に制定され、「人権擁護活動に地道な努力をつみ重ねた方々を表彰」、過去には複数の弁護士、国際協力NPO(1987年JVC、2007年シェア、他)、公害・社会福祉分野(2008年カネミ油症被害者支援センター、2012年原田正純氏、2013年上畑鉄之丞氏、2015年過労死を考える家族の会、他)等が表彰者にあげられてきている。

 受賞者紹介文には、「中皮腫・じん肺・アスベストセンターは2003年9月1日から活動を開始、中皮腫・じん肺・アスベスト被災者を擁護・救済することなどを目的とし、アスベスト(石綿)の被災者の労災認定者支援に長年経験のある団体が多数参加し、全国からの相談に応じている。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局も務めてきた。アスベストは戦前から多用されており、その危険性も調査されていたが、健康被害の情報が国民に知らされず、石綿工場労働者、家族、近隣住民等に数万を超す被害をだし、建設作業者にも多大な被害を生み、生徒急増期の学校などでアスベストにばく露した被害も発覚している。

 中皮腫・じん肺・アスベストセンターは、被害が社会的に広く知られる以前から調査・啓発し、被害者救済のため医学面、労災申請面、訴訟面において支援し、また建設工事関連では違法解体・改築工事などの事前防止や事後解決にも尽力している。建築物の調査や煙突用石綿断熱材についても提言し、再生砕石の危険も明らかにするなど先進的な取り組みを行ってきた。今後もアスベスト被害は起こり続けるであろうが、その際の救済・補償をより確実なものにならしめる一方、健康被害件数を減少させるために大きく寄与している。」とされている。

 この受賞は多くのアスベスト関連諸団体に対する表彰であり、私たちの10数年の活動を人権という点で評価して頂いたことに心から感謝したい。アスベストは今後数十年にわたる課題であり、私たちができる活動を今後も地道に継続していきたい。