What is Mesothelioma?
中皮腫と診断されたが、石綿(アスベスト)との関連が不明の方へ - 中皮腫と診断された場合、ご自分の職業と石綿は関係ないと自分で断定する人が案外多くいらっしゃいます。その多くが会社の事務職の男性、事務職の女性に多い様に思います。造船所の設計・事務職等で昔からよくあった誤解ですので、まずその点を説明しましょう。昔の造船所では石綿は作業服についていて、家族ばく露も起こしていました。また造船所では、現場作業者と設計・事務職員が同じ社員食堂を使い、作業者が事務所に来る場合もあり頻繁に接点がありましたので、設計・事務職にも胸膜プラークや中皮腫の方がでたのです。
石綿は容易に数km飛散する「石の綿(わた)」です。石綿製造業の近隣の住民が、多数中皮腫になってきたことを思い出してみてください。石綿とは名前が異なる材料のタルク(滑り止め、ベビーパウダー、等)にも石綿が含まれていました。見えない建物の天井裏に石綿(アスベスト)、特に飛散しやすい吹付け石綿(アスベスト)があったのですが、それを知らない方が大変多いと思います。
一例をあげると、省庁の合同庁舎、厚生労働省等でも吹付け石綿があったことが知られています。厚生労働省の事業所公開で、吹付け石綿のある部屋で勤務し労災認定されている方には、豆腐製造業、デパート勤務、薬品工場、新聞社、病院等一見石綿と無関係な職種と見えるかたが数多く見られます。私は石綿(アスベスト)と関係ないと断定をしないで、慎重に公にされている厚生労働省の石綿関連の職業歴を確認してみましょう。(厚生労働省HP)石綿ばく露作業による労災認定事業場一覧表平成23年度以前認定分)
最近相談される方の典型例をあげてみましょう。
「20台に事務職だった60代の女性。最初は中皮腫の治療方法の相談に見え、私は石綿とは関係のない仕事と言われていました。勤務先をうかがうと東京都心の区の1960年代築の大きなビルで、建物の石綿に詳しいひまわり診療所の名取医師のセカンド・オピニオン外来(03-5629-1823 担当永井)に受診されました。名取医師に外来で相談したところ、調査しましょうということになり建物の資料収集と現地調査も行われました。現地で天井に吹付け石綿が見つかり、吹付け石綿の下で10年間勤務していたことが判明し、その後労災認定されました。」
石綿との関連は、職業ばかりではありません。「石綿とは無縁だと思っていた50歳の男性がいました。ご家族は私たちが作成した、石綿ばく露歴を総合的に把握する、「居住歴・建物歴・ライフイベント」、「家族の職業」のエクセルのファイルを必死に記載してくださり、中皮腫・じん肺・アスベストセンターに持参して相談に見えました。私たちの相談員が、子供の時から7か所転居された居住地と石綿製造業所在地を確認したところ、10代までにすごした家の近隣100mに20名規模の零細な石綿製造工場がありました。」という事例がありました。
私たちが、中皮腫と石綿との関連がわからない方の、ご相談を受けた際に使用している、居住歴、家族歴、建物使用歴をチェックするExcelのファイル「居住歴・建物歴・ライフイベント」をお示しておきます。ダウンロードしていただき、ご使用ください。
ファイル内には、1枚目の「ライフイベント、居住歴、建物滞在歴」と、2枚目の「家族の職業」の二つから成り立っています。わかりにくい方は、電話やメールで私どもにご確認ください。昔のことを色々と思い出さなければならず、記入はかなり大変ですが、このエクセルに過去のことを書いてくださった方、私たちと一緒にすべて記載できた方は、石綿と中皮腫や肺癌との関連がほぼ全員判明しました。多くの方が労災申請を希望され、一定の方が労災に認定されてきました。周囲の工場や家族ばく露等の方は、「関連がわかっただけで、気持ちがすっきりした。」と語られていました。
まずエクセル・ファイルにご記入くださり、その後電話でご相談ください。記憶を思い出すことも含めお手伝いしますので、石綿との接点を是非私たちと一緒に見つけていきましょう。
(本項目の文章は2018年8月段階の内容です。2018年9月以降の変化は反映していない場合がある点ご了承ください。)