建設アスベスト訴訟ニュースNo.15
2023年11月1日

The Construction-Asbestos Lawsuit News

10・20 首都圏第4陣第3回期日開かれる
原告の蓮見さんが遺族の思いを訴え

10月20日、首都圏建設アスベスト訴訟(東京)第4陣の第3回期日が、東京地裁において開かれました。この第4陣は2022年6月7日に全国一斉に提訴されたもので、アスベストセンターと東京労働安全衛生センターから会員10人(被災者8人)が参加しています。

首都圏第4陣第3回期日開かれる

なお、東北では、2020年に第1陣が仙台地裁に提訴したのを皮切りに、22年・23年と計22人(被災者17人)が提訴しており、そのうちアスベストセンターの会員9人(被災者7人)が、この一連の訴訟に参加しています(裏面参照)。

今回の第3回期日では、遺族原告2人が法廷に立ち、被災者との思い出、発病への戸惑いや闘病のつらさ、亡き被災者の声など、遺族としての悲しみや悔しさを訴えました。

今回、法廷に立ったアスベストセンター会員の蓮見順子(はすみじゅんこ)さんは、元内装工の父を胸膜中皮腫で亡くした遺族です。

「父はとてもがまん強く、頑張り屋さんでした。優しい父で、父の誕生日に私の息子の写真を入れて贈った財布を30年間とても大切に使ってくれていました。」
「父は若い頃から一生懸命働いて、その結果、多くの建材からアスベストを吸って中皮腫になったと思うとやり切れない気持ちです。」
「アスベストさえなければ、私たちには永い未来があった。被告建材メーカーは、父本人だけでなく、私たち家族からも多くのものを奪った責任を認めてほしいです。」

蓮見さんは法廷で涙ながらに訴えました。今回の期日には、アスベストセンターの会員の原告・家族8人が傍聴に参加しましたが、同じ遺族の立場である原告のお一人は、ハンカチで目頭を押さえながら蓮見さんの言葉に耳を傾けていました。

被害の実態を直視し、速やかに賠償に応じるべきです。また、私たちは、認定から排除された屋外工や解体工に対する損害賠償責任の追及を継続して行っていきます。

第4陣の次回期日は2024年1月10日(水)です。多くの傍聴参加をお願いします。

10・16 建設アスベスト東北訴訟 第1陣
本人尋問はじまる

石綿肺がんの男性原告が被害の深刻さを証言
「痰とか鼻をかんだとき真っ黒になっていた」
「粉じんが部屋中にキラキラと舞っていた」

10月16日、建設アスベスト東北訴訟(仙台)第1陣の第12回期日が、仙台地裁において開かれました。

建設アスベスト東北訴訟 第1陣 本人尋問はじまる

左:小野寺弁護団長 右:太田弁護団事務局長

東北訴訟では、原告の本人尋問は初めてとなります。

肺がんを発症し、左肺を全摘出して休業を余儀なくされた元内装工の70代の男性は、法廷で被害の深刻さを訴えました。

「丸のこで建材を切断すると、部屋中に粉じんが蔓延(まんえん)した。日中だとそれほど粉じんは見えないが、夕方になって投光器で灯りをつけると、部屋中にキラキラした粉じんが舞っているのがわかった。」
「仕事で、大量に粉じんを吸ったと思う。咳も痰も出た。痰や鼻水が真っ黒になった。」
「アスベストの被害を受けた被災者は何十年も苦しんでいるのに、なぜ時効(除斥)があるのか、納得がいかない。残った右肺に癌(がん)ができたらと思うと怖い。国とメーカーには、一日も早く謝罪と賠償をしてほしい。」

本訴訟の第1陣では、遺族ら7人と国の間で2022年に和解が成立しましたが、上記の男性原告ら3人との間では、救済を受けられる除斥期間が過ぎていることなどを理由にまだ和解は成立していません。

次回は、11月13日(月)に第3陣の第1回期日、12月4日(月)に第1陣の2回目となる本人尋問が予定されています。小野寺弁護団長は、「これから重要な局面を迎える。ぜひ傍聴で応援をお願いしたい。」と訴えました。

* 建設アスベスト訴訟原告の昼食交流会を開催します *

2024年1月21日(日)12時より、東京都江東区亀戸Zビル4階で、アスベストセンターと東京労働安全衛生センターの会員原告の交流会を開催します。
首都圏にお住まいの皆さんはもとより、東北にお住まいの原告の皆さんもぜひご参加ください。
詳細はおってご案内します。ご参加お待ちしています。

医療・健康相談員の
ご紹介

事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。

尾形海子


事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)

お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。

田口正俊


委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)

母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。