建設アスベスト訴訟ニュースNo.9
2022年2月15日号

The Construction-Asbestos Lawsuit News

建設アスベスト給付金の申請受付が始まっています

「建設アスベスト給付金制度」は、建設現場で働き、中皮腫・肺がん・石綿肺などのアスベストによる病気になられた方やそのご遺族に対し、一定の要件を満たす場合に国が給付金を支給する制度です。

2021年6月9日に、議員立法により「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、2022年1月19日より完全施行されています。

【労災認定された方】は「労災支給決定等情報の提供サービス」を利用

労災認定を受けた方や石綿救済法の特別遺族給付金(労災の遺族補償が時効になっている場合に対象になります)を受けた方は、給付金を請求する前に「労災支給決定等情報提供サービス」(無料)を利用すると手続きが簡単です。

このサービスは、原則、過去にアスベスト関連疾病で労災認定・管理区分決定を受けた方が、労災保険から給付等を受けた際の情報について、厚生労働省から無料で提供を受けることができるものです。

このサービスを利用することにより、建設アスベスト給付金の請求書に記載しなければならない事項について簡単に把握することができます。

ご注意:労災認定を受けた方でこのサービスを利用した一部の方から、提供された内容に問題があるとのご相談が寄せられています。提供内容に疑問のある方は、私どもにご相談ください。

【労災認定を受けていない方】も申請を諦める必要はありません

建設アスベスト給付金の申請を諦める必要はありません。私ども相談員が業務内容等の詳しい聞き取り調査を行い、可能であれば労災申請の段階からお手伝いします。

環境省(環境再生保全機構)の石綿救済法で認定を受けた方、じん肺管理区分決定を受けて現在健康管理手帳(じん肺)をお持ちの方、建設アスベスト給付金の申請手続きについてご不安な方は、ぜひアスベストセンターまでご相談ください。

連絡先

アスベストセンター 080-8217-5022(担当:尾形)

建設アスベスト東北訴訟 2・7 第7回弁論期日
対・国とは和解に向けて前進 対・メーカーからは反論書面

建設アスベスト訴訟で初めて東北で提訴(仙台地裁)された「建設アスベスト東北訴訟」。原告10名(被災者は7名)のうち8名は、アスベストセンターの会員さんです。

2022年2月7日、第7回目となる弁論期日が仙台地裁で開かれました。前回2021年11月22日の第6回期日より、対・国とは和解手続きの確認が進められている一方、対・建材メーカーとは、原告一人一人の被害について争う段階に突入しており、各メーカーから反論書面が提出されました。小野寺弁護団長は、「一人一人の原告についてどのメーカーが責任を取るのか、ついに各論に入る。全国の弁護団と連携をとって頑張る。」と力を込めました。

また、建設アスベスト訴訟全国連絡会は、被告であるニチアスに対し、全国の各地で街頭宣伝や営業所等への要請行動を展開しました。東北弁護団も、宮城の支援する会、アスベストセンターと共に、1月25日にニチアス仙台支社に要請を行い、被害者への謝罪や早期解決を訴えました。その後、街頭で宣伝とビラ配布を行い、建設アスベスト被害の甚大さを訴えました。

なお、次回の弁論期日は、4月18日(月)15時に指定されました。

九州の建設アスベスト訴訟
建材メーカー4社の賠償確定 最高裁

2022年2月10日、最高裁判所は、九州の建設アスベスト1陣訴訟について、建材メーカーの上告を退ける決定をし、新たに責任の認められた1社を含む計4社の賠償が確定しました。これにより、2021年5月の最高裁判所の判断と合わせ、11社の建材メーカーについて法的責任が認められたことになります。

【責任が確定した建材メーカー】
エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、大建工業、太平洋セメント、ニチアス、日東紡績、バルカー、ノザワ、エム・エム・ケイ、ケイミュー(計11社)

今回の判決のポイント

今回の判決のポイントは、屋根や外壁に使われる外装材を扱う建材メーカーの責任が認められた点です。これまでは、外装材は屋外で切断加工されることを理由に危険が少ないとして、メーカーの責任が認められてきませんでした。しかし、今回の判決では「屋外で施工される場合であってもアスベストを吸い込む可能性があり、外装材の作業がすべて屋外で行われるとも限らない」として責任を認めたのです。今回の判決が、今後の司法判断に影響を及ぼすことは必至と思われます。

医療・健康相談員の
ご紹介

事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。

尾形海子


事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)

お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。

田口正俊


委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)

母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。