建設アスベスト訴訟ニュースNo.5
2021年3月8日号

The Construction-Asbestos Lawsuit News

提訴に向けた準備をはじめています

昨年、関東地区にお住まいの方を対象に、相談会を2回開催しました。

その相談会に参加されたアスベストセンター・東京労働安全衛生センターの会員12名(被災者および遺族)が、提訴に向け具体的な準備(労災認定時の監督署が作成した調査復命書の取り寄せなど)をはじめています。

既に復命書を取り寄せられた方には、就労状況などについて追加の聞き取りを行うため、担当者より順次、電話等で連絡を差し上げています。よろしくお願いします。


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3・1 建設アスベスト東北訴訟第2回弁論開かれる

建設アスベスト訴訟で初の東北提訴(仙台地裁)となった【建設アスベスト東北訴訟】 。原告10名のうち8名はアスベストセンターの会員さんです。

その「東北訴訟」の2回目となる弁論が、3月1日に仙台地裁で開かれました。原告の一人で内装工の60代男性は、40代で肺がんを発症し左肺を切除。コロナ禍の現在、片肺で新型コロナへの恐怖に耐えながら生活しています。今回は裁判所に赴くことができないため、国とメーカーへの訴えを事前収録し、その動画D V Dが証拠として裁判所に提出され、法廷で上映されました。

「左肺を切除して胸に鉄板が入っているようだ、思い切り空気を吸えないことが一番つらい。」

「最高裁が国の責任を認めたのは嬉しいが、私には時間がないかもしれない。1日も早い救済を願う。」

また、弁護団からは、建設現場の各作業工程における粉じんの発生状況をまとめた動画D V Dが裁判所に提出されました。一般的には知られない建設作業の様子、アスベストばく露の実態が法廷で映し出され、屋根工や解体工などの屋外作業においてもアスベストばく露があることを示しました。

建設アスベスト東北訴訟

次回の弁論期日は5月13日(木)15時に指定されました。

最高裁がはじめて国の損害賠償責任範囲を2分の1としました

12月14日の最高裁東京第1陣判決と1月28日の最高裁京都第1陣判決では「国の責任範囲は3分の1」とされてきましたが、2月22日の最高裁大阪第1陣判決は、国の責任をこれまでより重く見て2分の1としました。

<これまで最高裁決定で確定した国の責任に関する主な判断内>

  1. 昭和50年10月1日以降、平成16年9月30日までの間(吹付け作業は昭和47年10月1日以降)に、
  2. 屋内の建築作業現場で働いていた方(一人親方・中小事業主等を含む)で、
  3. 石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水に罹患し、労災認定または石綿救済法認定を受けた被害者につき、
  4. 国の賠償責任を認める。基準慰謝料額、責任割合は訴訟によって異なる。

※国の賠償額は下記<基準慰謝料額>の3分の1(東京・京都)もしくは2分の1(大阪)

<基準慰謝料額>

石綿肺(管理区分2・合併症あり):1,300万円(東京)/1,500万円(大阪)
石綿肺(管理区分3・合併症あり):1,800万円(東京)
石綿肺(管理区分4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水:
2,200万円(東京)/2,300万円(京都)/2,400万円(大阪)
石綿関連疾患による死亡:2,500万円(東京)/2,600万円(京都)/2,700万円(大阪)

<これまで国の責任が認められた主な職種>

※下記職種以外は今後も認められないということではありません

大工/内装工/電工/吹付工/左官工/塗装工/タイル工/配管工/ダクト工/空調設備工/鉄骨工/溶接工/ブロック工/保温工/鳶工/墨出し工/型枠大工/解体工/はつり工/築炉工/エレベーター工/サッシ工/シャッター工/電気保安工/現場監督

医療・健康相談員の
ご紹介

事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。

尾形海子


事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)

お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。

田口正俊


委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)

母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。