建設アスベスト訴訟ニュース号外
2021年5月13日

The Construction-Asbestos Lawsuit News

2021年5月13日
建設アスベスト東北訴訟 第3回弁論期日

建設現場でアスベストを吸い込み、中皮腫や肺がんなどを患ったとして、主に東北地方の建設現場で働いた元労働者3人と、死亡した元労働者の遺族7人の合わせて10人が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟【建設アスベスト東北訴訟】 の第3回口頭弁論が5月13日、仙台地裁で開かれました。

原告の意見陳述は今回も感染予防の観点から、国とメーカーへの訴えを事前収録した動画DVDが証拠として裁判所に提出され、法廷で上映されました。

= 今回訴えた、元大工の70代男性原告(石綿肺患者)の声 =

本来なら裁判所で、国と建材メーカーに自分の気持ちをぶつけたかったけれど、新型コロナにかかったら自分は生きていけないと思うと、出廷を断念せざるを得ませんでした。

意見陳述のビデオ収録では、たった数分の原稿を読み上げるのにも途中で息が上がり、とても苦労しました。

建設業で働いてアスベストの病気になった方、まだ労災申請していない方へ言いたことは、「自分の気持ちに正直に。もっともっと積極的に国や建材メーカーに本心をぶつけた方が良い。労災申請はした方がいい。」ということです。

私は、アスベスト被害はどうしたって国の責任だと思います。建材メーカーも大手だけでなくて、中小合わせて償って欲しいです。みんなその建材を使ったのですから。

最高裁判決には期待しています。でもこれで全ての問題が帳消しになり、解決するわけではありません。高齢者の中には、アスベスト被害者であっても自分が生きているうちには救済・補償されないと、労災申請も裁判も諦めている人がいると思います。せめて1日も早い救済を願います。

私もこれからも精一杯、声をあげてがんばります。

 

建設アスベスト訴訟のうち、4件の訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は判決期日をいずれも5月17日に指定しています。この4件は横浜、東京、京都、大阪の各地裁に起こされた訴訟で、原告は計約500人。同種の訴訟の原告は、全国各地で千人を超えています。

高裁段階では判断が分かれており、今回の最高裁判決で統一的な判断基準を示す可能性が高いと考えられています。

 

なお、東北訴訟の次回期日は7月19日(月)15時に指定されました。

 

 

アスベストセンターは建設アスベスト訴訟を長年に渡り支援しています。東北訴訟の原告のうち8人は、この間アスベストセンターが支援してきた方々です。建設現場で働きアスベスト関連疾患を発症している方は、ぜひ私たちにご相談ください。

 

これから労災申請したいという方のご相談にも対応しています。ぜひご相談ください。

 

東北地方では、アスベストセンターのほか、宮城県を中心とした「宮城アスベスト患者・家族の会」などの支援団体が、アスベスト被害者の相談・支援活動をすすめています。

医療・健康相談員の
ご紹介

事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。

尾形海子


事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)

お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。

田口正俊


委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)

母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。