The Construction-Asbestos Lawsuit News
建設現場でアスベストを吸い込み、中皮腫や肺がんなどを患ったとして、主に東北地方の建設現場で働いた元労働者3人と、死亡した元労働者の遺族7人の合わせて10人が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟【建設アスベスト東北訴訟】 の第2回口頭弁論が3月1日、仙台地裁(小川理佳裁判長)で開かれました。
原告の一人で内装工の60代男性は、40代で肺がんを発症し左肺を切除。コロナ禍の現在、片肺で新型コロナへの恐怖に耐えながら生活しています。今回は裁判所に赴くことができないため、国とメーカーへの訴えを事前収録し、その動画DVDが証拠として裁判所に提出され、法廷で上映されました。「アスベストの怖さを知らないで働いてきた、国やメーカーから危険性を知らされなかった。」「左肺を切除して、胸に鉄板が入っているようだ、思い切り空気を吸えないことが一番つらい。」「最高裁が国の責任を認めたのは嬉しいが、私には時間がないかもしれない。1日も早い救済を願う。」
弁護団は、「コロナ禍ではあるが、原告の声を裁判所に届ける工夫を惜しまない」と話しました。
また、弁護団からは、建設現場の各作業工程における粉じんの発生状況をまとめた動画DVDが裁判所に提出されました。一般的には知られない建設作業の様子、アスベストばく露の実態が法廷に映し出され、屋根工や解体工などの屋外作業においてもアスベストばく露があることを示しました。なお、次回期日は5月13日(木)15時に指定されました。
建設現場でのアスベスト被害をめぐっては、国と建材メーカーの責任を求める裁判が全国各地で起こされており、現時点では地裁および高裁で合計12の判決が出ており、そのうち国の責任は11判決、企業の責任は6判決で認められています。
多くの判決は、国の損害賠償責任を3分の1としていますが、2021年2月の「大阪1陣」訴訟の高裁判決では国の損害賠償責任を2分の1とし、判断が分かれました。
アスベストセンターは建設アスベスト訴訟を長年に渡り支援しています。東北訴訟の原告のうち8人は、この間アスベストセンターが支援してきた方々です。建設現場で働きアスベスト関連疾患を発症している方は、ぜひ私たちにご相談ください。
2020年冬にご相談された方々は現在、私たちと協力して労災認定に関する書類を取り付けるなど、提訴に向けて着実に準備を進めています。
これから労災申請したいという方のご相談にも対応しています。ぜひご相談ください。
東北地方では、アスベストセンターのほか、宮城県を中心とした「宮城アスベスト患者・家族の会」などの支援団体が、アスベスト被害者の相談・支援活動をすすめています。
電話相談はこちら 080-8217-5022(担当:尾形)
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(オンラインは24時間相談受付中)
事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)
お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。
事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)
お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。
委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)
母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。