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建設アスベスト訴訟 2021.5.17最高裁判決のまとめ

The Judgement of the Supreme Court

判決勝訴

撮影:今井明

建設アスベスト訴訟では、審理が先行していた4つの訴訟(神奈川、東京、京都、大阪)の上告審判決で、国とメーカーの責任など、各高裁では判断が分かれていた主要な争点について、2021年5月16日に最高裁判所が統一的な判断を示しました。

2021年5月16日の最高裁判決で確定した国と建材メーカーの責任

1 国の責任

①違法理由

  • 防じんマスク等の保護具の着用を義務付けなかった。
    建材の切断など、アスベストを飛散させる作業やその周辺で作業する場合に防じんマスクを着用させる義務を事業主に対して罰則をもって課さなかった。
  • 警告表示を義務付けなかった。
    建材や建設現場におけるアスベストの危険性について、警告表示を義務付けなかった。

②責任期間

1975年(昭和50)年10月1日から2004年(平成16)年9月30日までの間
 (吹付作業に係わる建設業務の場合は、1972年(昭和47)年10月1日から1975年(昭和50)年10月1日までの間)

③対象者

  • 屋内の建築作業現場で働いていた労働者(一人親方・中小事業主等を含む)
    ※これまで国の責任が認められた主な職種
    大工、内装工、電工、吹付工、左官工、塗装工、タイル工、配管工、ダクト工、空調設備工、鉄骨工、溶接工、ブロック工、保温工、鳶工、墨出し工、型枠大工、解体工、はつり工、築炉工、エレベーター工、サッシ工、シャッター工、電気保安工、現場監督
  • 屋根工など、主に屋外で作業を行う職種については、これまで国(および建材メーカー)の責任が認められていません。これは、大変不当な判断です。

④健康被害

石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水に罹患(りかん)していること。

⑤慰謝料等

基準慰謝料額、責任割合は訴訟によって異なる。

2 建材メーカーの責任

①違法理由

  • アスベストの有害性を知りながら、アスベストの危険性について建材に警告表示を行わなかった。
    ※最高裁判所は市場占有率(シェア率)などを考慮し、使用された可能性の高い建材を製造・販売していた建材メーカーについて、「共同不法行為」(民法719条1項後段類推適用)による責任を認めました。

②責任期間、対象職種

責任期間や対象職種については判決では確定しておらず、対象の建材メーカーや建材の使用時期等によって判断が異なる可能性があります。

③責任が認められた建材メーカー

エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、大建工業、太平洋セメント、ニチアス、日東紡績、バルカー、ノザワ、エム・エム・ケイ

※これら企業は、かつてアスベスト建材の製造・販売市場で大きなシェアを占めていた企業になります。

※明確な責任が認められたにもかかわらず、上記建材メーカーはなおも裁判で争う姿勢を崩していません(2021年9月25日現在)。

 

アスベストセンターは、原告を含む被災者・弁護団とともに、被告の建材メーカーが責任を果たすまで、訴訟という形で責任を追求していきます。
また、屋外労働者や国が認めなかった責任期間に懸命に働いた方々の思いを受け止め、補償・救済を目指して頑張ります。

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事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

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田口正俊


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