Symposium: No Asbestos Inhalation for Children
名取 時間になりましたので、「こどもたちにアスベスト(石綿)を吸引させないシンポジウム」を始めたいと思います。私は、主催者であります、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの所長の名取でございます。
この時期に、このようなシンポジウムを行ったかと申し上げますと、基本的に建築基準法や大気汚染防止法、労働安全衛生法に基づく石綿則では、一定の資格を持った人でないと建築物の解体前の調査ができないという時代に進んできたわけです。ある面で言うと、私ども今日ご参加されている多くの方が、国交省をはじめとした省庁に一定の調査ができる資格を作ろうということで始めた、成果の一つであります。ただ、国土交通省の所轄のみの最初は1,000人くらいのしっかりと実地研修含め4日した調査者でした。厚労省と環境省が加わり、建築物石綿含有調査者を10万人に一気に数を増やすことになり1日の書籍研修のみになりました。本当にどれだけの質が担保できるのかという点では、疑問視する話もよく聞くところです。
驚く方もいるかと思いますが、除去をしている時に諸外国で普通は除去業のライセンス制度があって、工事に問題が起きたらライセンスを取り上げられます。そういう国と比べると、日本には全くそのような法的制度がありません。実際に発がん物質であるにもかかわらず、建物から取り終わったときに「終わった」ことを調査する第三者資格制度が、他国のようにないという大きな問題がございます。そのような中で、最後は白ペンキを塗ってごまかしたら終わりだろうということが実情として報告されているわけです。日本の対策は非常に不十分なまま続いていて、このままでいくと、未来のこどもたちもアスベストを吸わざるをえない。そのような改築・解体が、今日も続いているという認識をわれわれは持っております。
今回は、私たちに加えて、「建物解体等アスベスト被害根絶連絡会準備会」という、この間、アスベスト訴訟を一所懸命頑張ってくださった弁護士さんや労働組合の方々も一緒に参加していただいております。なるべく力を大きくして、こどもたちにアスベストを吸わせない環境を作っていこうと考えているところで、今回主催をいたしました。
本日は、今のところ、本会場をお取りいただいた立憲民主党の近藤昭一議員、近藤昭一さんの秘書の苫米地さん、日本共産党の参議院議員の倉林明子さんの秘書の山本さんがご参加されております。ご挨拶は、申し訳ないですが議員さんに限らせていただきます。
近藤 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました、立憲民主党の衆院議員の近藤昭一と申します。私も、政治の世界で仕事をさせていただいて随分になるのですが、環境委員会に所属している時間が大変長いですので、アスベストの問題は、さまざまな場面で取り上げさせていただいてきたところであります。本当に日本では、国際的に見ても規制が大変に遅かったということで、被害に遭った方が、ばく露された方が多い。そして、本当に悲しい、厳しい話ですが、ばく露の発症される方が増えてくるという、非常に困難な状況の中にあります。だからこそ、しっかりと国の責任を認めて、今後このようなことが二度と起きないように、そして、被害に遭った人たちをきちんと救済していくことが大事です。
ただ、残念ながら、これも国との闘いの中で、裁判をせざるをえなかった等々のことがあり、あるいはメーカーがしっかりと責任を認めていないという課題があるわけです。しかし、その中できちんとできることをしていかなくてはいけないということで、これから解体するときに、ばく露するようなことがあってはならない。今、主催者の方からもお話がありましたように、10月1日から、解体の前の検査を専門家がきちんとやるべしということが決まって、それが実行されていくわけですが、このようなことがどれだけ周知されているのか。特に、こどもたちがいる幼稚園・保育園、あるいは、こどもたちが使う学校なできちんと周知されているのかということが大きな問題だと教えていただいて、今日の会の趣旨もそのようなことだと思います。議員が議会の中でもしっかりとそれを共有して、対策を打っていけということだと思います。
先般いろいろとお話を聞かせていただいて、こども家庭庁等々に対する要請もさせていただきましたが、引き続きしっかりと勉強して頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。