The Risk Communication Cases
2008年8月、浜松の呉松町にアスベストの最終処分場ができ、住民による反対運動が発生しました。ここは管理型廃棄物処分場から壁1枚隔て、すぐ民家があり、数件先には保育園があるという場所に谷を掘り、そこに全国のアスベスト除去工事から発生したアスベスト廃棄物が運び込まれていました。黄色いアスベスト廃棄物と明記されたビニール袋がダンプカーの積荷が作業者によって放り投げられ足で踏まれ、重機が土をかけて上から押さえると、袋の中の空気が圧力によって割れて、中の粉じんが噴出す様子が見られました。
私たちは、地元の住民とともに浜松市役所を訪ね、廃棄物処分場内の作業が粉じんを撒き散らすようなずさんな作業であることを映像を見せて指摘し、事業者Mへの適正な指導を要請しました。また、住民へはアスベストについての啓蒙活動を行って、住民による監視の重要性を呼びかけました。処分場最近隣の住民は、処分場を隔てる壁越しに絶えず監視を行い、写真を撮りビデオで映像を撮りました。これらの映像は行政への説得に役に立っています。
これらの住民による監視活動、リスクコミュニケーションの事例を報告し、広く認識を共有すること、また、この地域の少し奥まった地域にアスベスト処分場建設の計画があることなどを踏まえ、地元でのシンポジウムを開催しました。関係住民や地元選出の国会議員なども参加し、廃棄物処分場の近隣住民の監視が重要であることなどが報告されました。この最終処分場の周囲の環境濃度測定は、NPO法人東京労働安全衛生センターが引き続き定期的に行っています。このような息の長い監視が重要です。