A Class for Investigator of Asbestos containing Materials
国交省の石綿含有建材調査者制度は、総務省が2007年石綿使用実態を的確かつ効率的に把握する方法を検討するよう勧告したのが契機だった。
2005年、各省庁は(学校は文科省、社会福祉施設は厚生労働省、民間は国土交通省、自治体は総務省)建物の石綿含有調査を指示した通達をだしたが、調査者や調査方法や書式の規定もなく、ずさんな調査・見逃しで発がん物質である石綿が飛散する事故も発生、問題となっていた。厚労省の石綿則告示は座学2日で取得可能な石綿作業主任者か同座学のJATI(旧石綿協会)のアスベスト診断士による調査で、一定の書式も実地研修もなく、十分な調査が可能か問題とされていた。
2013(平成25)年7月30日、国土交通省は建材へのアスベスト(石綿)の含有を見分ける資格「建築物石綿含有建材調査者」制度の創設について告示した(国土交通省告示第七百四十八号)。石綿調査の公的資格制度は、日本では初めてである。(20130730告示添付)
2013年10月31日国土交通省は、日本初の石綿含有建材調査の公的資格「建築物石綿含有建材調査者」制度の創設告示(2013年7月30日、国土交通省告示第七百四十八号)に基いた講習機関として、一般財団法人日本環境衛生センターを承認した。(国土交通省のウェブサイト参照)
一般財団法人日本環境衛生センターは、2014年1月から、関東2回、大阪1回、福岡1回調査者講習を実施中(同センターHP参照)。調査者講習は3日間で、受講生は400頁以上の専門テキスト(建物と石綿関連疾患、リスクコミュニケーション、設計文書からの情報収集手法、実際の建物での調査手法)を2日間学ぶ。建物で1日実地研修をうけた後、日本初の共通的報告書書式を自分で作成し提出、報告書に基づき面接試験が行われる。講習講師は、国交省社会資本整備審議会アスベスト部会同WGで米英制度を参考に約3年間かけテキストを作成した、ゼネコン関係者、石綿除去業、分析業、医師等実地の専門家が務める予定。2014年3月下旬に筆記試験が実施され、合格した石綿含有建材調査者は登録されHPで公開の予定という。
国交省は、建物調査や石綿除去に対する国庫補助の要件に資格者による実施を加え、今後自治体での普及を促進する予定。現在でも同制度を利用しない自治体も多く、自治体が石綿対策に熱心かどうかは住民の熱意で自体体間に差異がでる時代となる。石綿含有建材調査者制度について是非各地で講演会等を開催し、自治体で首長、議員、建築関係課、大気関係課、医療保健関連課に十分御理解を頂き調査者制度を普及させ、建築物の石綿調査がすすみ適切な改築・解体工事が進むよう各自治体で、住民からの働きかけが必要となる。