勤務先企業への損害賠償請求

Compensation against Employer

アスベスト(石綿)による病気で労災補償を受けることとは別に
過去の勤務先である企業に対して慰謝料等の損害賠償を求めることができます。

闘病中のご本人やご家族の生活を保障するためにも
企業賠償の可能性についてご相談ください。

労災保険制度による労災認定があれば、治療費や休業補償といった一定の給付を受けることは出来ます。しかし、あなたがアスベスト(石綿)による病気になって感じた苦しみや悔しさ、不安といった精神的苦痛に対する「慰謝料」をもらうことは出来ません。

あなたが病気になった責任が企業にある場合、その苦しみや悔しさを「慰謝料」という形で勤め先の企業に訴えることができます。

アスベストの危険性は古くから知られてきました。使用者企業には、労働者(従業員)がアスベストを吸い込んで病気にならないよう、十分な安全対策を行う義務(安全配慮義務)があります。

この義務を怠ったために従業員が病気になった場合、企業には、治療費や休業補償のほか「慰謝料」を含む全損害を賠償する責任があります。

また、アスベストによる被害は、生命や健康に関わる甚大な被害ですから、高額な慰謝料が認められます。

ポイント

  1. 慰謝料は労災補償の対象外ですから、加害企業に請求しないと獲得できません。
  2. 労災補償は、あなたの大切な生活のごく一部の補償に過ぎません。
  3. 企業に損害賠償を請求したからといって、労災補償が打ち切られたり、返還を求められたりすることはありません。
  4. アスベストによる被害者のため一定額を支払う補償制度を設けている企業もありますが、多くの企業はそのような制度はありません。労災認定後、被害者側で損害の額を計算したうえで企業と交渉します。交渉に応じない場合は訴訟によって賠償を求めます。
  5. 企業に請求できる損害賠償の対象は、治療費、病気で仕事できなかった期間の休業損害、将来にわたって仕事できなくなったことによる逸失利益のほか、病気で苦しんだことによる慰謝料などです。
  6. 治療費や収入に対する補償が労災保険で支払われている場合には、企業に求める損害賠償の中心は慰謝料になります。
  7. 企業に対する損害賠償請求が可能かどうかは、アスベスト(石綿)の使用状況や企業の安全対策の有無など様々な事情によって異なります。被害者本人が亡くなっていて仕事の内容がよくわからない場合でも、資料を集めたり同僚を探したりすることによって実態が明らかになる場合もあります。まずはご相談ください。


損害賠償請求のQ&Aはこちら

(本項目の文章は2019年10月段階の内容です。最新の情報をご確認下さい。アスベスト訴訟弁護団ホームページより一部引用しました。)

医療・健康相談員の
ご紹介

事務局次長
尾形 海子(おがた ひろこ)

お困りのこと、ぜひご相談ください。「医療機関からCTやレントゲン写真を借りたいが、借り方がわからない」ときや「監督署へ相談に行きたいが、どう説明したら良いかわからない」ときなど、現場で皆さんのお手伝いができればと思っています。

尾形海子


事務局次長
田口 正俊(たぐち まさとし)

お一人で悩まずに、ぜひご相談ください。以前、建設業の労働組合におりましたので、特に技能者や一人親方の方、ご自分の働いた履歴や元請の証明、労働者性があるかどうかなど、お困りの時にご支援できたらと思っております。

田口正俊


委託職員
斎藤 洋太郎(さいとう ようたろう)

母と妻が、労災患者です(脳卒中と脊髄損傷)。趣味は、日本を含む東亜の文化です。被害者・家族の人権を守りましょう。