The 2nd Literature Award
アスベストとその関連疾患は、患者や家族が社会生活を営む中で、こころの深いところに痛みを残すものです。文芸作品(小説や児童文学、シナリオ、ノンフィクション)は、ひとのこころの深層に働き、読者を癒すこともあれば、深く共感し生きる力となることもあります。私たちは、過去に公表されたアスベストに関する文芸作品を表彰することで、患者や家族にお知らせして今後の歩みの一助としていただくとともに、多くの方に社会や歴史とも係わりのあるアスベストへの関心を持ち続けていただきたいと考えています。
文芸作品であっても、アスベストについての事実に立脚しないと、アスベストに対する恐怖心を煽ったり、事実と異なった認識を広めることとなる。アスベストがどういったものかという事実に基づいた応募であることが、文芸賞に限らず、賞全体の課題であると感じた。今回、「審査員特別賞」は該当なし、とした。
受賞者:玉田 崇二(たまだ しゅうじ)
掲載誌/発表した書籍名:「革」2024年秋号
公刊/発表年月:2024年9月
年齢:47歳
居住都道府県:奈良県
職業:会社員
選評:
硬質な文章で、共同風呂のボイラー室に吹き付けられた石綿(アスベスト)がいまにも飛散してくるような緊張感が見事に表現されていた。アスベストの感触もよく伝わってくる。家族のため、地域のために、アスベストの危険性をおぼろげに感じつつ、周囲の心配を押し切って風呂を焚く母親の使命感が「風呂の守り」というタイトルによく象徴されていた。母を手伝う主人公の中学生の雄一の元に、家を出て離れて住んでいる父親が心配して会いに来るところが、小説のシーンとして印象的であり、“風呂の守り”の前任者で、肺を患っているおじいさんの姿もよく描かれていた。読み終わって、この母子の将来に、アスベスト禍が待ち受けていないように、と祈る思いとなった。
受賞者コメント:
玉田 崇二
2025年7月29日現在
第2回の募集は締め切りました。
応募期間 : 2025年3月25日(火)-2025年6月6日(金)必着*
*郵送による応募の場合は当日消印有効
入賞者発表: 2025年8月予定
受賞作品 : アスベストセンター機関誌にて発表
アスベストセンター賞 : 賞状、副賞40万円
審査員特別賞(数点まで): 賞状、副賞10万円
佐伯一麦氏(作家)、大島秀利氏(毎日新聞記者)
〒136-0071 東京都江東区亀戸7-10-1 Zビル5F
NPO法人 中皮腫・じん肺・アスベストセンター
「アスベスト・文芸賞」係
asbestosawards@gmail.com
電話:080-8217-5022(担当:尾形)