写真で見る石綿(せきめん・いしわた)・アスベスト製品

Photographs of Asbestos

このページは2023年以前に当センターが任意団体時代に作成したページです。アスベストに関する問題の中には普遍的な事実も多くあるため、2024年4月時点で変わらない内容は、そのまま掲載しています。
(2024年4月 NPO法人中皮腫・じん肺・アスベストセンター)

「石綿(せきめん・いしわた)やアスベストという言葉は聞くけれど、どれが石綿(いしわた)の入っている製品なのかが、よくわからない。」という質問や悩みを伺います。おっしゃる通りで、まさにこの部分が石綿(いしわた)・アスベストの問題を複雑にしている所です。

私達が写真で見る石綿(せきめん・いしわた)・アスベストは、岩石としての石綿(アスベスト)であったり、それがほぐされた綿(わた)状のものの写真を見る事が多いと思います。しかし石綿が製品となると全くイメージは異なってきます。

吹きつけ石綿(せきめん・アスベスト)にしても、ふわふわしていたり、たれさがっていたり、毛羽立っているものは、吹きつけ石綿(アスベスト)と多くの方が気づくと思います。しかし吹きつけ石綿(アスベスト)を吹いた後にコテで押さえつける「コテ押さえ」が強く行われている場合は、一見すると「じゅうたん」の様な表面に見えます。天井に吹きつけ石綿(アスベスト)があるのに、よく見ないと吹きつけ石綿と気づかない場合もおきてしまう訳です。石綿(アスベスト)の危険をよく知っている私達NPO関係者ですら、身近の吹きつけ石綿(アスベスト)や石綿(アスベスト)含有の様々な吹きつけ材を見逃す事があります。第1の問題は、石綿(アスベスト)含有製品の写真による紹介や肉眼像の紹介が現在まで少なかったために起きていると私達は考えます。

今回私達は、石綿(アスベスト)の含有が確認されている製品を写真で掲載していきます。写真で多くの石綿(アスベスト)製品を見て頂き、身近にある石綿(アスベスト)製品に是非注意を払って下さい。残念ながら行政や建設業者が100%の対策を実施していない事が明らかな以上、改築や解体工事の近くの方が肉眼で石綿(アスベスト)含有の多くの製品を知っていただく事が大事です。実際には石綿(アスベスト)含有ではない場合があっても、法律(特定化学物質障害防止規則)は事前の確認を求めているのですから、注意の指摘をして頂く事が重要です。

吹きつけ石綿(アスベスト)や石綿保温材や劣化した製品でなければ、多くの石綿製品はそのままでは飛散しにくいものが多いので、そこに製品がある事自体が心配な訳ではないものが多いと思います。吹きつけ石綿でも、風があたった位では石綿(アスベスト)が飛散しますが、著しく飛散する事はないのです。心配しすぎない事も大事です。しかし石綿製品を、こすったり切ったり、割ったりすれば、石綿(アスベスト)繊維が、一定の濃度で飛散してしまうもの事実です。詳しく知りたい方は、石綿Q&Aの資料1の建築作業での石綿(アスベスト)濃度を参考にして下さい。石綿(アスベスト)製品である事をよく知った上で、適切な対処の方法や「つきあい方」が必要であると思います。

石綿(アスベスト)含有製品の問題点として、石綿(いしわた・アスベスト)とその他の物質(セメントと塗料、ゴムと塗料)が混合されて製品となっている場合も多いわけです。その場合、石綿含有である以前に製造された製品と、代替物質が含有されている最近の製品が、写真や肉眼像では区別がつかない事も多いわけです。特に黒や赤や黄色等の色がついている製品では、石綿(アスベスト)含有が7%から3%になっても、3%から他の繊維に変更になっても肉眼像で区別することはまず困難です。同じく典型例は、岩綿(がんめん・ロックウール)吹きつけの場合です。石綿(いしわた・アスベスト)含有の岩綿(ロックウール)吹きつけと、100%岩綿(ロックウール)吹きつけの区別が肉眼像では難しいのです。一部の標本を採取(サンプリング)して、石綿の分析をしてみないと専門家でも石綿含有の有無が判明しないのです。写真や肉眼像でみる目視(もくし)だけでは、石綿除去や石綿の専門家でも判断を間違うことがしばしばあるのが実態です。

写真や目視や建造年代で一定の判別は可能です。また危険な製品を見逃さないために、私達は一定の写真を提供していきます。また皆さんからの写真の提供も今後是非お願いしたいと考えています。