2008年度 活動方針

Plan 2008

1.全体的な方針について

 海外を含めた調査や情報の収集を行い、アスベスト政策の提言と省庁交渉を行っていきます。事業場公開の完全実施に取り組んでいきます。労災認定などが稀な産業や建物ばく露等の中皮腫の方の労災認定、補償の遅れている石綿関連肺がんの方の労災認定等への取り組みを強化していきます。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局を今まで同様実施していきます。法律プロジェクトの態勢強化を行いながらアスベスト裁判の支援を行います。環境ばく露の取り組みの充実と共に、調査研究活動を強化します。アスベスト基金を活用し、日本の石綿の歴史の解明・電子顕微鏡等技術者及び研究者援助・地震対策など多面的に活用致します。石綿対策全国連と共に、国際会議の開催の共催に協力していきます。任意団体からNPOへの移行についての検討を開始します。

2.省庁交渉の取り組み

 過去5回の交渉記録をふまえ、引き続き内閣官房を窓口にした交渉を行います。国会対策なども合せて行います。

3.全国からの電話相談と対応

 当センターの基礎的な活動であり、電話相談を毎日継続して参ります。全国へ相談員を派遣し個別相談と地域の支援体制作りを援助していきます。相談事例と対応を見直す検討の場や研修を毎月実施していきます。全体の状況を勘案し、必要なホットラインを実施します。

4.労災認定支援と救済法認定の支援について

 電話相談・相談員の派遣・相談検討を行います。低濃度ばく露事案、アスベストばく露を示す医学的所見が乏しい肺がん事案、地方公務員事案などの困難事例にはチームを組んで対処し、最大限の救済をはかります。

5.中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会 事務局活動

 2008年度も継続して、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局に協力していきます。全国事務局会議をはじめ、省庁交渉・議員陳情・救済法改正へむけての活動に協力していきます。

6.環境アスベスト相談の活動

 アスベスト除去工事等の適正な工事を広く実現するために、リスクコミュニケーションの普及を行います。悪質な違法アスベスト除去工事については、告発等を含めて厳しい法的な措置を検討します。

 産業廃棄物処分場周辺のアスベスト粉じんの状況や対策については、早急な調査と対策の検討に取り組みます。

7.法律プロジェクト

 アスベスト被災は顕在化したばかりです、関西・関東弁護団に寄せられる訴訟に取り組みます。具体的には札幌控訴審に勝訴して、旧国鉄・JR訴訟をはじめ係争中である訴訟に波及させ救済を果たすと共に、JRをはじめとした新たな訴訟にも対応してゆきます。環境被害が広がってきています。国賠訴訟も泉南地域での製造企業の元社員・住民訴訟という枠を超えて、建設業の例に見られるように各産業への新たな広がりが出てきており、これらに臨む態勢強化にも取り組みます。

8.調査・研究活動

 厚生労働省「石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会」委員を飯田・名取が引き続き務めており、マニュアルの充実を目指します。厚生労働科学研究費の研究委託で、リスクコミュニケーションマニュアル作成等に協力します。肺がん等アスベスト関連疾患のリスクや制度の調査を既に開始しました。東京労働安全衛生センターの石綿測定及び相談活動に協力していきます。日本の石綿の歴史等の書籍の出版を行い、過去の石綿に関する資料の整備や情報提供に取り組みます。ビルのアスベスト建材、天井内吹き付けアスベスト濃度測定、駐車場の吹き付けアスベスト問題の、調査を行う方向で取り組みます。中皮腫・アスベスト疾患・交流会の活動を後援していきます。

9.ホームページ等による情報提供

 アスベスト関連の情報提供のため、資料と通達等の整備を行う作業が開始されており、ホームページの充実をはかります。年2回程度機関紙を発行します。

10.建材相談の活動

 解体工事や改修工事の際のアスベスト建材の取り扱いについて、広く安全性を指摘していきたいと思います。

11.地震の際の対応

 大型地震の際は、環境測定や環境教育のために迅速に現地へ向かい、現地での援助を行います。地震と防災体制に関するシンポジウムの開催を含め、生活再建支援法の改正への提言を行います。

12.中皮腫の方の写真撮影について

 東日本を中心に、支援する団体のない地域での中皮腫等の被災者ご家族等の写真撮影を実施し、写真集の出版に協力します。

13.アスベスト基金

 寄付金を長期的な展望に基づく活動に使用するために、アスベスト基金を運用します。電子顕微鏡技術・石綿小体関連ではNPO法人東京労働安全衛生センターへの委託運営及び助成、石綿の歴史関連の調査、環境教育、マスク配布等の積立、海外での肺がん等の研究調査渡航費、その他アスベスト飛散防止や関連疾患の調査研究への助成を行います。

14.事務局体制

 職員2名体制のもと、省庁交渉体制強化、ホームぺージの充実、研究、環境、資料整備、支援の少ない地域援助プロジェクト等で、事務局非常勤職員等の補充を行います。

15.アスベストセンター北海道等の活動

 地元の安全センターがない地域については関係者と協力して、アスベスト労災・救済法認定やアスベスト飛散防止対策を前進させます。

16.他団体との協力

 石綿対策全国連絡会議、全国労働安全衛生センター連絡会議、(NPO法人)東京労働安全衛生センター、三多摩労働安全衛生センター、(社団法人)神奈川労災職業病センター、(NPO法人)じん肺アスベスト被災者救済基金、名古屋労災職業病研究会、関西労働者安全センター、尼崎労働者安全衛生センター、(NPO法人)ひょうご労働安全衛生センター、(NPO法人)愛媛労働安全衛生センター、広島労働安全衛生センター、(財団法人)新潟県安全衛生センター、(社団法人)大分県勤労者安全衛生センター、鹿児島労働衛生センター準備会(姶良ユニオン)、沖縄労働安全衛生センター、(医)ひらの亀戸ひまわり診療所、じん肺患者同盟(北茨城・高萩・東京東部・横須賀・建設東京の各支部)、建設じん肺被災者の会東京、横須賀地区じん肺被災者の会、全建総連東京都連、労働者住民医療機関連絡会議、アスベスト訴訟弁護団・関東及び関西、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、新化学物質政策NGOフォーラム等の諸団体と協力して活動していきます。