被災地のアスベストの状況調査報告を発表

 マスク支援プロジェクトでは、震災発生後、被災地でのアスベストの状況調査の活動に協力してきました。
 7月1日、東京労働安全衛生センターの外山尚紀さん(作業環境測定士、労働衛生コンサルタント)が、この間の調査活動をまとめた報告書(第1報)を発表しました。

 報告書では、被災地の環境空気中のほとんどの場所ではアスベストは低濃度だったが、がれきの仮置き場でクリソタイル含有の成形板をトラックから降ろす作業の直近では、高濃度のアスベスト繊維が検出されたこと、作業者は建材のアスベストが含まれていることを知らず、適切な防じんマスクも使用していなかったこと、を指摘しています。

 飛散性の高いアスベスト含有建材は数は少ないものの、発がんリスクの高い角閃石アスベストの吹付けが発見されており、管理と除去時と対策が必要、アスベスト含有の吹付け材、耐火被覆板、保温材、断熱材がある場所を確認し、掲示板等による表示、立ち入り禁止、応急処置の措置を講ずる必要があること、除去時には専門業者による適切な工事を行うこととしています。

 アスベスト含有のスレート材などの成形板はアスベストが飛散するリスクは小さいものの、大量に残っており、解体、運搬業者やボランティアへの注意喚起をすべきこと、散水による飛散防止、分別解体と分別処理、石綿作業主任者の選任、適切な呼吸用保護具(国家検定合格品)を使用すること、運搬時にはトラックに幌をかけ、がれき置き場ではアスベスト含有建材を分別回収する、被災者の雇用にも考慮し、がれき置き場にアスベスト含有建材を分別できる人員を要請し配置するなどが必要としています。

 住民やボランティアの粉じん対策については、アスベストに限らず有害物質が飛散し呼吸器系疾患を引き起こす可能性があるため、適切な防じんマスクを選び使い方を学ぶための研修を自治体が行うよう提案しています。

 報告書の最後を引用します。

 アスベストリスクの特徴は、①広く使用されどこでもあり、誰もががいつでも曝露する可能性があり、また②閾値のない発がん物質であり、かつ③適切に濃度を測定することが難しい、点にあると考えられます。従って私たちは、「測定して基準値を超えていないから対策は不要」と考えるべきではなく、全ての人の曝露を最小限にするために採りうる合理的な曝露低減策は全て採るべきであると考えます。大地震被災地のアスベスト含有建材を含むがれき処理は今後数年間続くことが予想されます。私たちは被災地の復興を何よりも望みます。そして復興は人々のいのちと健康を守ることが第一の条件であることを信じます。この調査報告は第1報であり、今後も調査を継続し報告と提言を続けていきます。

<資料>

東日本大震災後の被災地におけるアスベストの状況調査報告書(第1報)(PDF)

2011年7月1日 特定非営利活動法人東京労働安全衛生センター
中皮腫・じん肺・アスベストセンター
立命館アスベスト研究プロジェクト
財団法人労働科学研究会
地震・石綿・マスク支援プロジェクト

【協力】
フィットテスト研究会