大船渡のやっぺし祭りでマスク教室

東京労働安全衛生センター 飯田勝泰

 5月28日〜30日、永倉さんと私は岩手県の大船渡市、陸前高田市を再訪し、マスク支援プロジェクトの活動を展開してきました。今回一緒に現地入りしたのは、異文化コミュニケーターとして活躍するマリ・クリスティーヌさんと日本ハビタット協会専務理事の山本博子さんです。

 マリさんはタレント業のかたわら国連ハビタット親善大使として世界各地の被災地や紛争地を訪れ、住民が幸せになる町づくりを訴えて活動しています。1995年1月に発生した阪神淡路大震災のときにも真っ先に被災地の神戸に駆けつけ、子どもたちに防じんマスクを配布しました。昨年1月、阪神・淡路大震災15年を迎えた神戸での「震災とアスベストシンポジウム」ではメインゲストとして講演しました。

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全国から大船渡のやっぺし祭りに駆けつけたボランティア・スタッフ

 5月28日深夜、私たち4人は一関駅近くのホテルに集合しました。マリさんは直前まで東京渋谷のNHKスタジオでテレビニュースのコメンテーターとして出演。番組で「これから被災地に行ってきます」と言ってスタジオを飛び出し、最終の新幹線で駆けつけてくれました。

 翌5月29日早朝、一関のホテルを車で発った私たちは、大船渡市の猪川小学校に向かいました。今日は猪川小学校で「やっぺし祭り」が行われます。「やっぺし」とは地元の言葉で「よしやろう!」という意味です。4月に知り合った大船渡ボランティアネットワークサポートセンターの石鍋博子さん、千葉善博さんたちが、全国のボランティアや若手の現代アーティストに呼びかけ、子どもたちを元気にするお祭りを企画しました。

 当日はあいにく雨模様。会場をグラウンドから体育館に移して「やっぺし祭り」が始まりました。伝統芸能の獅子舞や剣舞が披露され、餅つき、綱引き、風船アート、アニメキャラクターによる茶会、手づくり工作、手芸、大凧・連凧上げ、炊き出し、青空床屋など、子どもと大人が一緒に楽しめる出し物やパフォーマンスが満載。

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震災犠牲者の慰霊のための猪川獅子踊り

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マスク支援プロジェクトのコーナー

 私たちの「アスベストから子どもたちを守ろう−マスク支援プロジェクト」のマスク教室にも大勢の子どもたちがやってきました。マリさんと山本さんは、さっそくフェイスペイントのアーティストに頼んで、マスクにカラフルな鳥のイラストを描いてもらいました。無味乾燥なマスクが楽しいアート作品になり、子どたちも大喜び。「次はマスク・ペインティング教室だね」とアイデアが浮かびました。

子どもにマスクのつけ方を教えるマリさんと山本さん

 マスク教室では、実際にマスクを手にとり顔に着けてもらいました。あるお母さんは「自宅は無事だったが、近くに溜まっているガレキのほこりで洗濯物が汚れてしまう。子どもにも心配」と話していました。その週、永倉さんがNHKのラジオ番組に出演し、大船渡のやっぺし祭りとマスクの教室を紹介したところ、直接話がしたいと訪ねてきた女性もいました。ガレキの粉じんやアスベストに不安を持つ人も少なくないようです。子どもたちにはクイズ形式の簡単なアンケートをしてもらったところ、ほこりやアスベストについて意外に正しい知識を持っていることも分かりました。

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親子でマスクの着け方教室(永倉)

 この日のやっぺし祭りでは、約200人の子どもと大人に粉じん・アスベスト対策の必要性を知ってもらい、防じんマスクの正しい使い方を体験してもらいました。大船渡市教育委員会の山口清人教育次長にも再会し、学校でもアスベストについて学ぶ場を作ってほしいと要請しました。

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大船渡市の山口清人教育次長を囲んで(飯田、マリさん、永倉)

 翌日5月30日には、陸前高田のボランティア支援センターを訪れ、緊急支援用の防じんマスク500個を届けました。当日は激しい雨になり、市街地は地盤が下がったせいか雨と海水で冠水していました。ところどころにガレキが山積みされていました。ガレキの撤去と分別処理は被災地の復旧・復興には避けて通れない難題です。粉じん・アスベストによる二次被害が起きないようマスク支援プロジェクトの活動を続けていきたいと思います。

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みんなの願いを書いた連凧が猪川小学校の校庭に高く舞い上がった

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やっぺし祭りの大凧作りでは自由にメッセージを書いた