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アスベスト含有建材・その1
大規模物件での改築と解体時の対策

大越慶二氏(環境コンサルタント)

 私は35年程アスベスト業界に携わっておりまして、昭和の時代の頃はアスベスト吹きつけ等の施行の方に従事し、今から17年程前アスベストが問題化した時からアスベスト対策の方に従事してきております。今回のシンポジウムにお招きを受けたのは、多少そのへんでの経験を持っているので、皆さんの話の役にたてるのではないかということから、本日お話をさせていただくことになりました。では、レジメに沿いまして、アスベスト含有建材とはということで話をします。施行の際には、今の現行法の中で区分けをしなければならない。つまり皆様はアスベスト含有建材を吹き付けアスベストから始まって本日のメインテーマである石綿スレートとかPタイルとか、アスベスト含有した成型品を総称されておると思いますが、今の現行法規の中ではそれが一括化しておりません。私がご説明するについて、簡便的に区分けするのが良いと思いまして、名取先生の話とはちょっと違った部分があるかもしれません。現行で法律的にアスベスト含有建材を分けているのは、廃棄物処理および清掃に関する法律、通称「廃掃法」という法律の中で、飛散性アスベストと非飛散性アスベストを比重で分けています。比重が0.5以下のものが、非常に軽いので飛散しやすいよと。非飛散性というのは、比重が重いから建築物内にあるだけではあまり飛び散らないと。言葉が非飛散性というので、皆さん誤解なさる。「飛散しない。」とご理解しない方が良いと思います。あくまでもアスベスト含有している以上、先程の話からもお分かりの通り、改修解体時においてその含有建材を撤去する場合にはなんらかの飛散があるということを念頭に置いていただくのが宜しいと思います。石綿含有建材の処分についてちょっと脱線した話をさせていただきます。飛散性アスベストというものは、今、日本の法律の中では撤去する場合においては固形化するかまたはプラステックの二重袋に入れて処分場に持っていきなさいということになっています。アスベスト含有建材はどうなっているかというと、現行法規の中では何ら規定はございません。通常出る産業廃棄物として処分可能です。どういうことかというと、現場で発生したアスベスト含有建材は、そのまま処分業者に渡して、処分業者はトラックとかダンプカーに積んで埋め立て処分場に持っていく。その際に何らの制限はございません。運搬、積み込み時、埋め立て時、どういう時点に置いても飛散する危険性は多いにあると、皆さんは頭に入れておいていただいたほうが良いと思います。それから先程から出ています石綿スレート、これは非常に大量に使われています。先程の写真の中ででていましたのはほんの一部でして、波形スレートというものだけを皆さんは頭に入れておられますが、室内天井や壁にも使われている平らな板も石綿セメント板、大平板とかフレキシブルボードとか、そういう名称で言われております。これを、私の知っているかぎりでは、石綿スレート協会が平成6年まで生産した総量を発表しています。協会発表では3690万トン。それから現在に至る10年間に石綿スレートの中にはクリソタイルというアスベスト繊維を含んだものが使われています。単純計算を私なりにしますと、今までの総生産量は4300万トンくらいあるのではないかと思われます。石綿スレートの中にアスベストはどの位入っているかというと、大体15%位入っている。これを単純計算すると、640万トンから651万トン位。アスベストが使用されているのが石綿スレート板、石綿セメント板であるということです。ちなみに、吹き付けアスベストを皆さんはよく騒がれておりますが、これはどのくらいかというと、昭和55年頃までロックウールに入れたものまで含めて15〜6万トン。石綿スレート板は650万トン位使われていると思います。話を元に戻しまして、アスベスト含有建材が廃棄物の法律で飛散性と非飛散性に分けられていて、その処分も二つに分けられると言うことを申上げました。しかし同じ建材の中でも二つのブロックに入ってしまうものがございまして、石綿ケイ酸カルシウム板がそれにあたります。専門的になりますが、石綿ケイ酸カルシウム板1号品というのは、鉄骨の耐火被覆材として使うものです。天井や壁に使われる石綿ケイ酸カルシウム板は2号品です。1号品は比重が0.45くらいまで。2号品は0.8くらいまで。先程の「廃掃法」の区分けからすると、特別管理産業廃棄物として処分しなければならないのと、通常の産業廃棄物として処分できるものと、二つあるということを念頭に入れておく必要があると思います。次に、法的な解釈はどうなっているかというと、私なりにまとめましたのがレジメにございます。これをご覧ください。現行法規の中の区分けをしますと、吹き付けアスベストや飛散性アスベストについて、制限を受けるものは、諸官庁への届出、環境測定の実施とかというものの他、作業場の規制もあります。専門的なのでざっと流しますが、セキュリティゾーンというのは、出入りのときにクリーンルームを通りまして体を洗う。負圧除塵装置というのは、作業場内のアスベスト粉塵をろ過して外部に出しますということです。先ほど出ていました、養生シートで区画をしなければならない。それから防塵服の着用しなければいけない。それから防塵マスクの着用。それから特化則作業主任者というものでないと、作業指示はできない。それから作業に従事するものは健康診断を受けなければいけない。ということが、飛散性アスベスト撤去の場合にはほぼ行政の法規の中で制限を受けていますが、非飛散性アスベスト撤去に関しては、こちらでごらんいただくとおり×になっている部分が非常に多い。ただし、防塵マスクの着用、特化則作業主任者の選任、それから健康診断の実施ということは、労働安全衛生法の中に定められていまして、1%以上含有している含有建材を取り扱う場合には、この法律にのっとって以上の手続きをおこなわなければならないということになっています。先ほども話に出ていましたが、アスベストをどうやって1%以上含むということになるかといいますと、X線で計ったり、顕微鏡で分析したりして、アスベストの有無を計ります。実際上は、その他に定量分析というのをやって、何%入っているかということを調べることがよくあります。私の耳にもよく入ってくるのは、「定量分析をしましたが0.8%でした」というような話がございます。私がここ17年間に色々な時に各建材メーカーに問い合わせてきましたが、1%未満の含有量でアスベスト含有建材を作っているメーカーさんはどこにもございませんでした。ですが定量分析をしますと、0.8%と出るような場合もございます。定量分析というのはあまり意味がない場合が多くて、石綿含有という結果がでた場合は、1%以上含有と結果を見た方が良い訳です。つまり全部法律にかかってくるのだということをご理解いただく必要があると思います。

 それでは、本日のテーマであります、大規模物件における実態というのはどの程度なのか、それから国内においてどのような状況であるかを、私の経験から申し上げさせていただきます。私は17年ほどやっているのですが、最初の頃は専門業者がほとんどなかったために、北海道から九州にいたるまでお仕事にお手伝いさせていただきました。ここ数年は地方にも専門業者さんが確立されてきまして、ほとんど首都圏でやっているだけでございまして、私は今地方の状況を知るのは、同業他社さんや職人さんや、一般のみなさんのご意見など話をいただいて、想像させていただいております。

 大型物件とその他の物件とのちがいを示しますと、首都圏の大型物件は社会的に関心度が高いだけに、発注者と工事を管理するゼネコンさんと、業者さんともかなり認識度が高いために、石綿ボード等のアスベスト含有建材についても現行法規の最低基準まではほぼいっているのではないかと思います。工事の際に石綿に詳しい会社が工事の一部に必ず入っているという事もあります。特定化学物質障害防止規則に基づく事前記録も、石綿に詳しい会社の特定化学物質作業主任者が記録している事が多いわけです。大規模工事以外のところでは、こうした資格の人が工事に携わってはいないので、石綿含有建材の存在と対策について、かなり見過ごしているのではないかと思います。

 また石綿含有建材の処理に関しては、首都圏に比べてその他の地方の認識度が薄いのではないかと思います。どのへんが一番大きな問題になるかというと、私の想像するに首都圏部ではマスコミさんを含め一般市民の関心度が非常に高い。従ってアスベストに対する認識度も非常に高くなっています。改修や解体時において管理をする発注さん、業者さんも、ある程度アスベスト含有建材を含め施工される部分がありますから、認識度が高い周囲の人に影響されている部分があると思っております。その他、改修解体工事の実態についてご説明したかったのですが、時間が過ぎてしまいました。最後のまとめとして言わせていただきたいことは、皆さんが関心を高めていただくことがこのアスベスト処理において、業者に対しても尻を押していくという形ではないかと思っています。皆様の周辺の建物の改修解体時には、是非とも声を高らかにいろいろアピールされる必要があると思います。後で時間がありましたら、ご説明させていただきます。どうもありがとうございました。

アスベスト含有建材大規模物件での改築と解体時の対策

アスベストの処理時に関る主な法規制の違い

飛散性アスベストと「非飛散性」アスベストの法解釈比較



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